VIV ASIA(ヴィブ アジア)

〜アジア最大の畜産、養鶏、水産養殖の展示会〜
(世界的に安全安心な卵、肉、養殖魚の生産を希望)

畜産、養鶏、水産養殖のアジア最大の展示会「VIV ASIA」が、2013年3月13日から15日までの3日間、タイ国の首都バンコクの国際展示場「BITEC」で行われました。

私どもの会社「ピィアイシィ・バイオ」も展示出展者として一昨年に続き参加し、飼料添加物ホールに2コマのスペース用意し、大変忙しい3日間を過ごしました。

この展示会は1年おきに開催され、タイで開催されるようになってから今回で11回目、22年の歳月が経過していることになります。

この展示会の主催者は、オランダのVNUと言う組織で、1960年代豚の生産会社と政府が、畜産動物のより高い生産性向上のため、さまざまな関係業者を集めてスタートしたもので、さらに1978年からは家禽産業(養鶏)も参加、合同拡大し集約的な動物と農業のための見本市として発展し、VIVと名付けられました。

VIVとはオランダ語で「Vakbeurs Intensieve Veehouderij」の頭文字をとっておりますが、よく分からないので英語に翻訳しますと、Livestock Intensive Expositionとなり、日本語に直訳しますと高度な集約的な畜産の展示会となります。

1970年代から世界的に鶏卵と畜肉の需要が拡大し、さらに産業として大型化と機械化が進み始め、牧歌的な家畜産業が近代的な食肉産業に大きく変化し始めました。

当然、育種、栄養、薬品、ワクチン、飼養管理、畜舎構造、自動化生産設備、鶏卵食肉の処理機械など、あらゆる構造と機能が革新的に進歩し、それを取り巻く情報も豊富となり、そんな情報を一堂に集めて一挙に展覧する事業が成り立つようにもなりました。

そんな背景と狙いがあって、この展示産業が発展拡大し、今現在ヨーロッパをはじめロシア、中国、インド、トルコ、南アメリカなどさまざまな地域と国々でこのVIVは開催され、鶏卵食肉の生産消費拡大の波に乗り盛況を極めているようです。

このVIV ASIAも最初は1986年と1989年に東京で開催され、当時に晴海にあった国際見本市会場に私も見学に行きましたが、アジアの東端の日本では、東南アジアや西アジアから人が集まらず、その後地理的にアジアの中心に位置するタイのバンコクに移転、現在の成功を見るようになりました。

当初はバンコク市内にある小さな展示会場「Queen Sirikit(クイーン シリキット)」で行われ、その第1回目の展示会に、その頃私どもが販売していた飼料添加剤のタイの代理店からの強い要請で、ピィアイシィ・バイオへの改称前の養鶏産業研究所として出展した記憶があります、1993年でした。

それから22年、このアジアの展示会は拡大に拡大を重ね、多くの出展者とそれを見学に来る見学者、さまざまな研究セミナーに集まる聴講者など、主催者発表では今回2013年の初日の13日だけで3万人が来場したと言うことです。

「バンコク国際貿易展示センター」の広い6部屋の会場に散会している展示者の数は770社で48ヶ国から関係業者がもっとも得意とする、施設、機械、物品など、畜産、養鶏、水産養殖の技術の先端が一堂に展示されている模様は、この業界に生きる人にはさまざまな参考を与え、将来展望の基礎にもなったでしょう。

私はラッキーなことに、鶏卵食肉産業に60年近く関係し、産業が拡大してきた歴史を半世紀以上身をもって体験していますし、また客観的に観察もしてきましたので、ここまで歩いてきた過程もそれなりに熟知しています。

その間、育種改良の進歩は驚異的で、ことに鶏卵、鶏肉の生産性の向上は目を見張るばかりです。

1羽の採卵鶏が1年間に生産する卵の数は、60年前は230個でしたが現在は330個と増えていますし、鶏肉(ブロイラー)においては、2.5キロの体重にするのに80日要したものが40日で達成されるよう改良され、さらに飼料の摂取量も2分の1に節約されました。

それがため「卵は物価の優等生」と褒められ、鶏肉もいつでも安価で手に入れることが出来る商品となったのです。

豚肉産業の改善も、人工授精技術の進歩や希釈液の改良で、子豚生産が飛躍的に増大し、肉豚の増体重、飼料効率向上とあいまって、安価で買い求めやすい価格で消費マーケットに提供でき、おそらく長い間豚肉は値上がりしない状態です。

これらは、育種改良の進歩と生産の大型化と合理化が生産原価を引き下げ、消費者はそのため経済的に有利な鶏卵と食肉を堪能できました。

その反面、経営的に成り立たず、この産業から撤退せざるを得ない農場が続出、淘汰と集約化で現在が成り立っています。

しかし拡大と合理化だけでは解決できない問題が多く噴出し始め、ここに来てこの産業はさまざまな解決しなければならない課題が発生、さらに大きく変化を求められています。

その第一は生産物の安心と安全を標榜すること、第二に食料としての飼料の要求量を減らすこと、第三に家畜が出す臭気と害虫をどうして減少するかの公害対策です。

今まで生産物を如何に安く作るか、安く作ることで利益を確保できるか、それには大型化機械化が必要だと、人間本位の生産面だけで経済性と生産性を求めたため、動物の生理と環境が忘れられ、その反動で、流行性の伝染病はじめあらゆる病気の発生を招いたのもこの拡大化でした。

鳥インフルエンザや豚や牛の口蹄疫に代表される法定伝染病はじめ、サルモネラ、病原性大腸菌、カンピロバくター、リステリアなど人間への感染が恐れられる病気の発生、そのほかさまざまな家畜独特な病気の発生で、この産業は苦労の連続でした。

それがため、病気の治療予防のために膨大な数量の薬品が使われていることも事実です。

この薬品の代表は抗生物質と抗菌剤です。

ご存知のようこれらの薬剤は、人畜共同で使用されるもので、もしこれらの薬剤が鶏卵、畜肉に残留していますと、それを食べる人間に薬剤耐性が現れ、同じ系統の薬品を使用する治療効果が薄れます。

これは重大問題で、人間の食料として生産した鶏卵、畜肉を食べたために、病気治療が不可能になっては困りものです。

これらは危険な肉と卵の生産となり、安くなった背景に薬漬けの管理があったとしたら、消費者は当然のこと敬遠します。

今回の展示会場でも、薬を使わず安全な製剤で健康な動物飼育を目指そう、のテーマの展示が目立ちました。

われわれは日本で20年前からそれを実行し、安全性を目指す農場から理解を得られ、無薬の鶏卵、畜肉の生産の資材として、納豆菌、乳酸菌を強度に活性を高め、病気を予防治療まで可能な生菌剤「サルトーゼ」を作り、日本一の市場性を持つようになりました。

この商材はVIV ASIAの来訪者の注目するところとなりました。

それは何処の国も同じく国民の健康を考えたとき、薬漬けの畜産が如何に問題かを熟知しているからです。

韓国、台湾はじめ東南アジア、西アジアの国々から、また中東各国、さらにヨーロッパからはさらに強い関心をいただきました。

次に公害問題の対策です、畜糞の臭気は発酵堆肥を作るときさらに強烈で、地域住民とのトラブルが絶えません。

その解決に、私たちは日本で実績を上げている、天然のフルボ酸を勧めています。

飼料の効率的な利用は将来の穀物不足を視野に入れたら等閑視出来ない問題で、今後飼料原料を発酵や酵素触媒などで消化促進が出来る、新しい技術を開発の必要が出てきますし、食べ残しの残渣物の利用など、畜産を取り巻く将来は、なお一層の研究が必要でしょう。

これに加えて最近、動物飼育に対する環境改善です。

すなわち飼育する条件を人間本位の考えから、動物本位に変えて、狭い場所にぎゅうぎゅうに詰め込む飼育状態から、動物がゆったりのびのび暮らせるスペースを作ること、あるいは鳥かご(ケージ)飼育や、豚房のストール(狭い柵)など、動物が好まない環境で飼育することを、条例で禁止する国もかなり出始めました。

動物愛護の「アニマルウエルネス」の精神で、そのような環境で飼うことが、肉になる運命の動物でも、生命の維持に快適な条件を与えることは、誰も反対できませんが、コスト的には経費がかかることはやむを得ないでしょう。

残念ながら大型化、合理化、集約化の流れとは若干異質のものですが、有機的な鶏卵、鶏肉、豚肉などはこんな条件で飼育したものだけが、有機認定されるようになるのではないでしょうか?

VIVの展示会もそんな情報を公開し、未来志向の知恵を交換し、国境を越えた同業者同士の友好が成り立てば、大変意義のあるものでしょう。

これは畜産と水産動物の展示会ですが、あらゆる産業が新しい情報を公開する展示会は、世界的に隆盛のようです。

ことにさまざまな国から情報を求めて集まる展示会は、平和を象徴するもので、より安全で安心な畜産物が世界的に生産流通することは、人類の究極の願いです。