2015年10月アーカイブ

ノーベル賞と土壌微生物の価値

〜畜産動物の薬漬けを止めさせた生菌剤〜
(無限の土壌微生物は宝の山)

2015年度のノーベル賞、生理学・医学賞が日本の大村智(おおむらさとし)博士に決定し、生理医学では3人目の日本人受賞者となりました。

新聞、テレビなどを通じてご存知の方も多いと思いますが、この大村博士の受賞理由は、土壌微生物の放線菌を採取し、その菌が出す化学物質を薬品として同定し開発の端緒を作ったことです。

この薬品が、動物に寄生する原虫病被害と、人間に寄生し多大な身体的被害をもたらす寄生虫を防ぎ、寄生虫病撲滅に対する功績を評価されたものでした。

薬品名は「イベルメクチン(Ivermectin)」と呼ばれ、動物薬としては犬のフィラリヤ、馬、牛、豚の内部寄生虫駆除から、外部寄生虫のダニなどの駆除に、かなり長い間使用されています。

「この薬は効果があり長く使用していますが、日本人が発明した物とは知らなかった」

酪農家の一人は、英文名と輸入品であることから、外国の有名大手製薬会社の創作と思いこんでいたようです。

生産者だけでなく、この薬を取り扱う動薬販売業者の何人かも、日本人が開発したとは知らなかったようです。

私も大村博士のことは、寡聞にして知りませんでした。

しかし日本や世界の微生物学会や生理科学学会では有名人で、各国のアカデミー学術会議の分野での受賞歴も数多いようです。

ことに、今回の受賞理由の最大の功績、アフリカや南米などで流行した原虫による失明病の「オンコセルカ病」の対策で成功し、2億人以上の人命と失明を救った事実は、

「世の中に役立つ仕事を一つでも二つでもやりたいという研究心は、北里研究所の美学の精神で、それにより人々が救われることが何よりもうれしい」と発言しています。

こんな精神が、大村博士の心底に脈々と流れていることも、評価の対象になったのでしょう。


巷間伝わる話では、製薬会社からの特許使用料報酬250億円を、北里研究財団やご自分で開いた科学者を育てる学校設立に寄贈したり、薬品を低開発国に無料配布したりで、国際はもとより国内の社会環境や人類、学術、科学界に貢献している、崇高な精神の持ち主のようです。

受賞が決まった日に求められたコメントに、「土の中を探す泥臭い仕事でも、コツコツと細菌を見つけることにを精進したことを認められ嬉しい」

「微生物にはまだまだ分からないことが多く、その中には人に役立つものがいっぱいある筈だ。そう言うものに若い人も興味を持ってもらい、さらに研究が永続することを望む」と結んでいます。

多くの教え子のほとんどは、「普段は飄々として掴みどころがないが、本質は強い信念の人で、カリスマ性がある」と評価しています。

日本のノーベル賞受賞者の多くは、東京大学、京都大学、名古屋大学など、日本を代表する頭脳集団の組織からの排出者が多いですが、大村博士は地方の山梨大学出身、故あって北里大学で教鞭をとり、東京大学で薬学博士、東京理科大学から理学博士の称号を取得しています。

その後、北里大学で研究財団を作り、組織の学術面と経済面で安定させましたが、何れにしろ地方大学出身の学徒に変わりありません。

地方大学と言えば、翌日ノーベル物理学賞受賞した梶田孝明博士も埼玉大学という地方大学出身でした。

ただ違うところは梶田博士は東大の研究室で研究、カミオカンデという素粒子発見の壮大な設備の中で、宇宙からの降り注ぐニュートリノの物量を測定した実績成果に対し受賞したものです。

それに対し、大村博士は設備も装置も無く、金もかけずに土の中の微生物をひたすら検索、泥まみれになりながら今日の栄誉を得たことです。

ところでこの成功の陰には「無限に存在する土壌微生物」が陰の主役を務めたことを、私たちも知っておく必要があります。

いまさら申し述べる間でもなく、私たちが生活している土壌の中には、さまざまな微小生物や菌類が生息しています。

伝えるところによりますと、1グラムの土壌の中に、1億からの微生物が生息しているとも聞いています。

それらの微生物が、悠久の地球の歴史の中で自然を形造り、全ての生命体を育んできたのです。

私たち人類が生まれ、そして生命体が維持できたのもこの微生物のおかげです。

私たちの生活に密着している微生物の利用は、食品だけ見ても、味噌、醤油、酒、酢、漬物から納豆、ヨーグルト、チーズなど数えきれません。

またご存知の各種の抗生物質の多くが、この土壌微生物が発生する物質を利用して開発したものです。

大村博士発見のイベルメクチンは放線菌が出す物質を利用しましたが、同じよう放線菌からはストレプトマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリンなどの抗生物質、ブレオマイシンなどの抗がん剤もあります。

青かびから発見したペニシリンは、人類を感染症から救った薬品として、20世紀の奇跡でした。

このように微生物が私たち人間の健康を含め、畜産、農業、水産業の病原菌被害をいかに防御したかは枚挙にいとまがありません。

ただしこれらの薬品を、安易に大量に長期に使用した結果、病原菌に耐性ができ効果が無くなったり、食品に残留した薬剤が身体に影響する恐ろしさも危惧されます。

実際、大村博士開発のイベルメクチンも、使用量を間違え大目に使用すると、そのリアクションは大きく、死亡につながる怖いもののようです。

そのような傾向は、人間だけでなく畜産や農業の分野でも問題になっています。

薬付けの畜産経営、残留農薬汚染の農産物と言われて久しいです。

「豚肉も鶏肉も養殖魚も野菜も、危険がいっぱい心配で食べられない」という主婦からの苦情が後を絶ちませんでした。

その心配をなくすために私たちは、同じ土壌微生物を利用した、抗生物質に替わる善玉微生物の生菌剤(プロバイオティック)を開発し、数多くの畜産動物、水産養殖魚の病原菌感染症を防ぐことに成功しました。

抗生物質と違い、大量投与でも危害が発生せず、使用した畜肉や卵に残留もしません。

分かりやすく言いますと、私たちが日常食べている、納豆菌や乳酸菌の仲間を利用したものでもので安心です。

その結果、抗生物質では治らなかった病状までにも効果的であったと評価されました。

その効果の働きを簡単に説明しますと、我々の微生物が発生する物質、この場合は酵素が悪玉菌の細胞壁を溶かし、生存権を奪い繁殖を阻害する作用があったからです。

微生物は、自分の仲間を増やすために、いろいろな物質を放出して仲間(コロニー)を増やします。

中には他の微生物を殺して自分の仲間を増やす者も多くいます。

その一つが大村博士が発見した放線菌で、寄生虫の神経に作用して麻痺させたり、または線虫などの細胞壁に作用し、生命を奪うなどの働きをします。

これはある種の微生物が持つ先天的性質で、ある意味では個性と言えるでしょう。

こんな独特な個性のある微生物は、そんなに沢山あるものではありません。

土壌1グラムに1億も存在する菌を、何十回、何百回と繰り返し探索しても、個性的菌はなかなか見つからないです。

ただこんな無駄な努力を繰り返しているうち、偶然に珠玉の菌を発見することがあります。

これは努力というより幸運と言った方がいいでしょう。

ペニシリンもストレプトマイシンも、発見しようとした意識とは別の偶然が、大発明になったのです。

大村博士も「伊豆(静岡県)のゴルフ場の土壌の中から」と、発表してます。

もし博士が、ゴルフに行かなかったら、土壌に興味がなかったら、採取した土壌を分析しなかったら、分析した土壌に有能菌がいなかったら、今回のノーベル賞はなかったかもしれません。

まさに人生何があるか分かりません。運が良かったということでしょう。

さて私どもの生菌剤に話を戻しましょう。

この主要菌も土壌から発見したものです。

それも整備されたゴルフ場などではなく、荒涼としたシルクロードの砂漠の中からの発見でした。

真夏は70℃、真冬はマイナス20℃にもなろうとする、過酷な乾燥した砂漠の砂の中で、何千年も眠っていた菌かもしれません。

この菌は枯草菌と言ってカプセルに入っている芽胞菌で、発芽繁殖の条件が整わなければ、何年でも何百年でも耐え忍ぶことができる強い菌です。

この菌の発見者は、私の古い友人、台湾の資源微生物研究所の林慶福博士です。

シルクロードの観光旅行があり、その砂漠地帯に立ち入り、砂を持ち帰らなければ、この抗生物質の代替えの力を持つ生菌剤はなかったでしょう。

これも偶然であり、幸運でした。

この林博士も大村博士同様、土壌菌はじめ自然界に生存する微生物を沢山採取し、その中から珠玉の菌を発見し貯蔵、いまや合計で5000種類を超える有能菌をこの資源微生物研究所は所有しています。

それらの菌を利用し、人類の健康増進に寄与する物質の開発をはじめ、畜産動物の発育増進、有機農業を促進する微生物、環境整備、公害対策などに適応した物質を開発し、各分野に普及し幸運をもたらしています。

大村博士同様、日本の東京大学で学び理科大学で博士号を取得した、台湾を代表する微生物博士で、同時に酒造りの専門家でもあります。

もう20年前ごろでしたか、東南アジアと日本の養鶏産業のコンサルタントをしていた私は、あまりにも安易に使いすぎる抗生物質の危険性を察知し、林博士に安全な抗生物質に替わる製剤の開発を相談、手持ちの菌株の中から、シルクロード菌をふくめ複数の菌を選択、それぞれの個性を生かした、総合的能力を高めた製剤を作りました。

この製剤は目下日本をはじめアジア各国で使用され、薬を使わない畜産動物に愛用されています。

隠れた話と言えば、ペットや小鳥、観賞魚などにも最適と思います。

さぁこのように、私たちの目に見えない微生物は、いろいろな個性と働きを持っています。

林博士との対話でよく聞く話は、「まだ発見されていない微生物も多く、これまで利用された微生物はごくごくわずか、発見と開発は無限に広がっている」

「ただ微生物は良いものばかりではなく、病原菌もいます。またすばらしい能力を持ちながら増殖の時アフラトキシン(毒物)が少しでも出たら、使えない菌も沢山あります」と話します。

たしかに、人類、動物、植物の生命体を侵す病原菌は沢山あります。

これらの病原菌の大繁殖で生命を脅かされたり、大流行で多くの人々が死に、世界の歴史が変わった事実もあります。

このような悪玉微生物との闘いを人類は続けてきました。

その対策に有用微生物を素にした薬品を開発し、人類を病魔から救い、動植物の生存を助けました。

まさに微生物を研究し微生物の本質を知り、それに対応するために微生物を利用する、まさに微生物同士の葛藤の中から、科学の進歩が見える一面でもあります。

今回のノーベル賞も、その無限に存在する微生物との対話をされた大村博士のたゆまぬ努力を評価したものです。

このことは、全く同じ過程を実行し土壌微生物の隠れた力を引き出して、畜産動物の抗生物質離れを促進した林慶福博士の功績に対し、賞も報奨金もありませんし、無冠の成果ですが、世界が認めたものと私は見ます。

大村博士は80歳、林博士も81歳、同じ世代の微生物研究者ですが、林博士はまだ新しい発見と開発に心血を注いでいる研究の徒で、この若い部脳は現在、人の健康に寄与する大発明に取り組んでいます。

近い将来その成果を発表するときがあるでしょう。

成功を祈ります。

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