酒の功罪「百薬の長か、万病の元か」

~体験的に知る酒の持つ魅力と、アルコールの怖さ~
 (アルコールの被害を防ぐ、サプリメントの開発)

私が酒を初めて飲んだ記憶は大学1年の正月、18歳であと1か月で
19歳になる未成年のとき、同級の友人から招待され同じクラスの3人と
訪問した新年会でした。

確か日本酒だと思いますが、味もわからず薦めるままに飲み、
気持ち悪く最後は嘔吐し、前後不覚になり寝込んでしまい、
その翌日から3日間苦しんだ思い出があります。

「もう酒は一生飲むまい」と強く反省し、その後会合で酒を勧められても、
友人の誘いも断り続けていましたが、20歳も過ぎ大学3年、4年生となり
いつの間にか、悪友と赤ちょうちんの暖簾を幾たびもくぐるようになって
いました。

今考えると禁酒などできっこない、柔弱なだらしのない意志の弱い性格で、
その時の雰囲気に流される人間だったのです。

それから約75年、合計で何百リッター、何千リッターのアルコールが
私の内臓を通過したか知りません。

酒に誘惑された私の人生にとって、はたして酒は良かったのか悪かったのか
と考える歳にもなりました。

殊に30歳過ぎから60歳半ばまで、仕事にかこつけ毎日誰かと酒食を
共にする生活でした。

その結果なのか40歳後半から70歳までに4回ほど痛風発作で苦しみました。

「酒を飲み美味しいものを食べ過ぎたからだ」

周囲の人たちから同情されず因果応報だとからかわれ、さらには
「食事の内容とお酒が原因にもなります」と医者にも断定されました。

「美味しい食事は美味しいお酒があることによってなお一層楽盛り上がる」

などと偉そうに蘊蓄を誇っていた結果、高尿酸値と知りながら酒が
止められず、高カロリーな食べ物、またプリン体の多い珍味を楽しんだ
結果の重症でした。

さらに65歳の時、胆のう胆管結石で黄疸になり胆のう摘出、前後45日
ほど入院した原因も体質もあるが飲酒も影響したようです。

「コレステロールの多い食事やお酒が胆のう炎にも関係もするし、
貴方は内臓脂肪も多く肥満となり、脂肪肝の前期ですので」

と手術をした医者から申し渡され、美味しい酒を飲む楽しさが肝臓を傷め、
痛風や胆のう炎の苦しさを呼んだ原因になったと、素直に反省もしました。

そんな苦痛を味わいながら92歳になる現在も、酒を飲む楽しさは、
痛さや苦痛を忘れたかのように続けてます。

と言って私は酒がなければ我慢できない人間でなく、場合により
1週間も10日も飲まなくても平気です。

ただ夕食時は食事を美味しくいただくため、その時によりビールから
お湯割り焼酎、ウイスキー水割りや日本酒、缶酎ハイからワインまで、
気分により料理により独酌を楽しんでいます。

毎日ではなく1週間に2回ほどです。

飲む量もビール換算で350ml1缶、日本酒で1合(180ml)程度で十分です。

これも老人の楽しみの一つ、適度のお酒は消化を促進し血流を良くし、
心も豊かになり健康で長生きができる方法と勝手に決めこんでいます。

このように酒を飲むことを肯定的にとれば、「酒は百薬の長」
「人生の活性剤」にもなると思います。

実際一人酒は別物としても現在も過去にも酒を飲む効能を大いに
感じています。

いまでも続いている親しい人たちと飲む酒、過去に仕事関係の人と飲んだ酒、
外国の人と飲んだ酒などは、お互いを親密にさせ、理解させてより一層
関係が深まった経験もあります。

これなどは正に酒の効能でありましょう。

これは私個人だけでなく、国際関係でも夕食会などで、異国人同士が
乾杯することで絆を強くなっています

そんな意味で酒は人間関係と社会活動や経済活動の潤滑油ともいえます。

まさに酒が持つ偉大な潜在能力は何百何千の言葉より一杯の盃、
一杯のグラス方が勝ることになります。

ところで良いことと悪いことは紙一重、表裏一体の諺があります。

酒、アルコール飲料は負の面では、私が体験した痛風や胆のう炎は
まさに酒の悪作用とも言えます。

単刀直入に言えば病気発祥や生活崩壊の大きな原因になると言えるでしょう。

この酒が原因であるいは遠因で、命を落とした友人知人が何人もいます。

一つの例が、高校の学友で外国語大を出たエッセイストは、酒が好きで
日本はもとより地球の隅々まで酒を求め歩き、それを著作し上梓を
していました。

当然酒の随筆家と認められ、有名新聞や週刊、月刊の雑誌あるいは出版社
などから酒にまつわる仕事を依頼され、酒談義や酒の蘊蓄を連載するため、
国内外のあらゆる酒を自分自身がテスターとなって評価した体験を
発表もしていました。

また居酒屋から名の知れたバー、有名料理屋から立ち飲み酒場まで通い、
毎日毎晩酒を飲み続ける生活を繰り返し、その探訪記など各紙に連載も
していました。

それができたのも、並外れた酒豪であったからですが、60歳過ぎたころから
「酒が弱くなった」と私に弱音を吐くようになり75歳過ぎ、肝臓、腎臓
はじめ内臓機能が異常となり、ついに酒のために命を落とす羽目に
なりました。

これなど、仕事と言え毎日の酒が五臓六腑を滅茶苦多にしてしまったことに
なります。

しかし彼などは酒を愛し、それが生活と結びついて思いのまま生き、
そうして好きな酒で命をとしたのですから幸せだったのでしょう。

彼が書いた酒の本が私の本棚に今も残っています。

それとは別に、大酒を飲み続け肝硬変から肝臓がんになったのが
私の実兄です。

自宅のそばに小さな工場を作り電子関係の部品製造していましたが、
昼食も自宅でビール、夕食は日本酒の生活を長年続けたため、
ついに肝臓が音を上げ不帰の人となり「酒の飲み過ぎだ」と誰からも
同情されない最後でした。

まだ60歳半ばの歳で、現在では早死にです。

よく「酒は人格を変える」と言われるよう、血液中にアルコールが入ると、
脳内の神経系統に作用し、快楽気分になったり、逆に闘争的性格になったり
して、正常を忘れ信じられない行動で問題も起こします。

私の兄も時として機嫌の悪い時か悪酔したか、父親や彼の女房に因縁をつけ
家庭騒動になったことが何回もあります。

深酒をしていない時は楽しい酒で済ませるものが、酒量なのか体調なのか
人格が変わりました。

これは肉体でなく神経に悪作用する酒の負の性格です。

このような実態は、生活に影響するような失敗にもつながり、
酒がないと生活できない中毒者となり、それがその人間のマイナスとなり
最後は経済破綻、家庭崩壊の例など、悪しを評価される恐ろしさも
酒にはあります。

それ以上アルコールの被害は、知らぬうちに身体を蝕ばみ、
心、肝、膵、腎、胃、腸、胆、食道、脳、血管など五臓六腑すべてを傷め、
血液、リンパ組織、神経系統までに影響する結果があります。

その原因はアルコールだけでなく、酒を一層美味しくさせる美食の
カロリーやコレステロールもマイナス要因となり、酒のアルコール成分と
相まって健康被害を増幅させます。

私の病気もこの美味しい高タンパク、高脂肪、高プリン体の食べ物と酒の
総合作用で、高コレステロール、高尿酸値、高血圧、腎臓機能に影響し
今でも高クリアチニンとなって、要注意となります。

ご存知の様、酒に強い人と弱い人がいます。

嗜好的なこともありますが科学的に言いますと、アルコールを分解する
酵素とアセトアルデヒド分解酵素が少ない人と多い人の相違によるものです。

少しの酒で赤くなり苦痛を訴える人は、アルコールを分解する酵素が少なく、
ましてアセトアルデヒド分解酵素がないとかえってアルコールは毒物と
なります。

アルコールは肝臓で分解された時、このアセトアルデヒドに変わりますが、
これはそもそも危険物質で毒性があり、吐き気や頭痛、二日酔いなどは、
この毒物が分解されないまま残ったからです。

さらにこの毒物は、脂肪の分解を抑制し、肝臓の機能を停滞させ、
ついにはアルコール性脂肪肝となり肝硬変から肝臓がんに移行される
危険があります。

さらに危険なのは、肝臓がんだけでなく消化機能の臓器、たとえば喉頭、
食道、胃、大腸などのがん化の引き金になり、加えて膵臓、腎臓、胆のう
などの臓器のがん化を誘発します。

幸いアルコール分解酵素やアセトアルデヒド分解酵素が健全に働く
酒に強い人でも、毎日純粋アルコールを30-50mlを取り続けますと、
強い肝臓も悲鳴を上げて、肝臓機能がパンクしてアルコール性肝炎から
がん発生の危険も伴います。

危険的な酒の量としては中瓶ビール2本、日本酒で2合に相当する量を
毎日飲む結果です。

もちろん毎日ではなく週3-4回でも総量として日本酒換算で1升(1.8ℓ)
以上ですと肝臓は疲れますし、アセトアルデヒドが体に残ります。

肝臓が疲れますと関連する臓器にも影響し、腎臓機能、消化機能が停滞し、
排尿や排便の異常信号が出ます。

さらに心機能にも影響、血圧、血流にも関連してきます。

これは体のSOSとなり、異常のサインを出します。

 「疲れやすくなる」

 「食欲不振となる」

 「吐き気を覚える。」

 「手の平が赤くなる」

 「顔が赤らむ」

 「肌が黄色くなる(黄疸症状)」
 
 「足のむくみ」

 「記憶力の低下」

 「イライラ感」

 「肌荒れ」

 「性欲減退」
  
 「排尿の異常(色、におい)」

 「排便(下痢、血便)」

などなどの症状です。

こんな症状は場合により医者の診断と、対策が必要となります。

自己的な対応では

 「水をよく飲む」

 「胃腸薬や肝臓に良いサプリメント」

 「酒を飲む回数を少なくする、しばらく飲まない」

 「タンパク質を摂る」

 「ビタミンB群を摂る(アセトアルデヒド分解に必要)」などです。
(ビタミンBは豚肉やウナギ大豆製品に多いです)

「私は酒に強くそんなに酔わないから大丈夫」と言う酒飲みが多いですが、
その自信の裏でかなりアセトアルデヒドに侵されていることを自覚する
ことが肝要です。

それを知って適量の酒を楽しみ、週2回ぐらいの休肝日を設けることが、
酒と長く付き合い楽しさを味わうための一つの知恵でしょう。

私は幸いなことに、痛風、胆のう摘出後、大豆イソフラボンをバイオ処理
したサプリメントを開発、ことにアミノ酸のアルギニンを強化し、
肝機能の働きの健全化と、さらに抗酸化力を高めアセトアルデヒドが
作用する悪酔いと活性酸素を除去する能力を高めました。

多くの愛用者は飲酒の前後に服用し、悪酔い、二日酔いはもとより、
生活習慣病の予防対策と健康回復に役立つと喜ばれます。

私も92歳8か月を過ぎた今日、酒をおいしく飲み、健康に過ごせるのも、
この長生きサプリメントのお陰と思っています。

とにかく酒が「百薬の長」になるか「万病の元凶」になるかは、
酒飲みの心がけ次第でしょう。

2024年9月9日
おくむら よしみ