フミン酸の力(6)

〜津波の塩害は大丈夫、稲作実験の中間報告〜
(東日本大震災の国土復興は、放射能と塩害の解決)

東日本大震災の被害は、人命を奪い、街を破壊し、港湾や工場を流出させましたが、農作地に与えた被害も甚大でした。

ことに農作地への打撃は「津波による塩害」と福島の原発崩壊による「放射能汚染」でした。

これらは尋常一様の対策方法では解決の難しい被害です。

そのなかで塩害について、天然の「フミン物質」の持つ有機化学的な作用が、損害を軽減する可能性があるとの論文が、世界のフミン酸、フルボ酸研究の科学者の発表のなかに多くあることを知りました。

ただしフミン酸と称する物質は数多くありますが、天然物だけが持つ、自然が作った不思議な力を持つことが大切で、人造的な抽出フミン酸にはそのパワーは無いようです。

私どもの「カナディアン フミン HNC」は、天然物の中の純粋な有機質物質でフミン酸、フルボ酸含有率が70%以上との優れもので、期待を持って、津波被害を被った千葉県外房の田んぼの稲作でテストに挑戦し、世界の科学者の論文が正しいことが証明できました。

その塩害解決の結果は最後に発表します。

また放射能汚染物質のセシウムやストロンチウムを低減する実験にも取り組んでいますが、その結果は時間がかかります。

この問題も、世界のフミン物質研究者の論文によれば、半減期を短縮し、あるいは汚染物質で人間が被曝しても、フルボ酸は体内で汚染物質を除去する力があることを発表していますので、試してみる必要があります。

ただしセシウムやヨウ素などの放射能物質に汚染された農地は、半減期が20年、30年と長期間を必要とするものもあり、回復の見通しが誰にも分かりません。

もし「カナディアン フミン HNC」や液体フルボ酸がお役に立てば、日本国のために、生産農家のために、大きな貢献と思っています。

さて先月(6月)のはじめに、私どもはHNC生産のカナダの代表WU博士を、カナダトロントに訪ね、塩害と放射能汚染の解決法を討議してまいりました。

塩害は津波に限らず世界中で発生し、その解決にフミン物質が使用されているケースが多くあり、その有効性の実証は難しくありませんが、放射能汚染物質の実験は難しく実証ができるところがありません。

ただし彼らの言葉を借りれば「東電が採用しているゼオライトで汚染物を吸着する機能性より、HNCが持つ幅広いイオン物質でキレーション能力と、有機転換作用をもつ天然物のフミン物質HNCの力のほうが総合力で上である。」と言い切っていましたので、世界で唯一の実験所は福島でしょう。

だだし今回は津波被害の塩害についてだけに話を絞ります。

さて海水が塩水が浸食した農地がなぜ問題なのか、それからお話しましょう。

塩分はご存知の通り浸透性が強く、野菜などの食品に塩を与えると、細胞組織より水を引きずり出す脱水作用が起ります。

刻んだきゅうりを塩でもむと水分が出てやわらかくふにゃふにゃなキュウリもみとなり、ナス、ウリ、カブ、ダイコンなどに塩を振ると、塩が組織内に浸透し水分が出て、程よい塩梅になります。

それが塩の浸透性で、野菜の漬物全てが塩分と水分の交換で、塩が染み込んだ美味しさとなります。

この浸透性作用は、塩が多い田畑で生育中の野菜やお米など、全ての農作物に起ります。

塩分を吸い込んだ作物が水分を放出しますと、やがては水分不足で枯れるか落葉してしまいます、また根っこからの水分は、塩分が邪魔して栄養素の吸収機能が低下し、作物は育ちません。

葉や茎に塩水がかかってもそこから塩分が浸透し脱水作用が始まり、作物を枯らします。

それだけ塩の浸透圧能力は影響が強いです。

また植物のイオン構造が塩のナトリウムイオンを吸収した状態に変わり、カリウム、カルシウムイオンを吸収阻害しバランスが崩れ、栄養供給が阻止される化学的変化が植物の発育を悪くさせます。

土壌中の有用微生物の細胞の水分も塩分が引き出し、水分がなくなると有用微生物は繁殖が不可能になり、有機物の分解ができません、それがため、軟らかい土壌となる団粒化を阻害し、硬く粘土質に固まった単粒化した圃場となり、根が育たずやがて根腐れの原因になります。

実際どの程度の塩分量だったら作物は育つのかの実験があります。

水田の稲でそれを計りますと、0.5%以内でしたらどうにか育ちますが、1%になりますと発育不良となり、1.5%ですと発芽が急激に停止し、2.5%になりますと発芽はもとより、全て枯れてしまいます。

このように塩の被害は農作物育成には顕著に現れます、もっとも塩分に強い作物もあり、有用微生物の中には好塩菌の類もありますが、津波は海水です、海水の塩分濃度は3.5%、その海水が田畑を浸食したのですから、塩分に強い作物にも影響をきたします。

この塩分を除去するには、真水すなわち淡水を沢山使用して塩分を流す方策があります。

またナトリウムイオンを中和するため、石灰類の陰イオン物質の投与でイオンバランスを調整するなどの方法がとられます。

それらは健全な土壌を造成する作業で、健康な土壌測定法としては、pH(水素イオン係数)、EC(電気伝導率)、CEC(陽イオン交換容量)塩素イオン量、ESP(交換性ナトリウム率)などの、化学的診断法があります。

ただしこれらの数値は診断の目安であって、あくまで農作地での作物の生育と健全な農作物の収穫が第一です。

しかしこれらの数値が今までの経験上、作物の生育に影響していることも確かです。

たとえば日本の多くの農作物は5.5〜6.9の弱酸性pHを好みます。

その背景には雨が多く平均して湿度の高い日本の耕作地は、弱酸性傾向が強くなり、その気候条件に植物のほうが適用した嫌いがあります。

ところが津波の海水で塩分濃度が高くなり、pHがアルカリ性に転じたり、他の養分浸食により強酸性に変化しますと、作物には適性環境ではなくなり育ちません。

EC値が高い場合は、往々にして窒素過多が認められ、問題の硝酸態窒素が多いと当然EC値は高くなります、同時に塩分濃度が高くてもEC値は極端に高くなり、農作物には適しません。

EC(電気伝導率)が高いと言うことは、電気を通電する物質が多いということで、土壌の中に塩分、肥料分、窒素が高いと電気はよく通ります。

それは返って作物には負荷となり、生育を阻害します。

CECの値が高いことも栄養豊富な土壌を指しますが、陽電子が変化する能力が高いことをあらわし、肥料の有効利用が活発化している証左になります。

ことに腐食酸物質の残留が高いことにもなり、塩分過剰で団粒性が失われ、栄養分が流失されますとこの数値は低下します。

さてこのような塩害被害を最小限にとどめ、なおかつ早急に海水が冠水した田畑の正常化を計るために、「カナディアン フミン HNC」のテストを進めました。

すでに塩害での有効性は世界の研究者の学術発表で多く検証されていると述べましたが、私どもは、韓国での実績があります。

ソウルの金浦空港周辺は、昔は入り江で海でした、その名残か土壌は塩分が多くまた弱アルカリ性で、作物の育ちが悪い報告が多くある地帯でした。

ことにハウス栽培の小松菜、レタス、サンチュ、ネギなどは連作障害もあり、生産者の悩みの種でした。

この塩害地帯で「カナディアン フミン HNC」の土壌鋤きこみと、フルボ酸による葉面撒布により、見違えるような生産物にすることができました。

塩害と連作による二重の塩害を解決したことになります。

さて今回の実験は千葉県の九十九里浜に近い田んぼを対象に、5月11日の田植えから7月上旬までの生育状態を観察しています。

ただし協力農家の9反の田んぼを3つに仕切り、最初の3反にHNC使用区、次の3反はフミンなし区、次の1.5反はフミンライト(HNCとバーミキュライト混合品)区、1.5反フミンなし区の4箇所設定しました。

5月9日の田植え前の測定では、全ての田んぼのEC値は1.3でした。

塩分濃度は517ppm。

5月18日
EC値  フミン区1.08     フミンなし区1.63
塩分濃度 フミン区400ppm   フミンなし区700ppm

6月21日
EC値  フミン区0.9     フミンなし区1.63
塩分濃度 フミン区300ppm  フミンなし区700ppm

フミン酸投与区とフミンなし区のEC値と塩分濃度はかなりの違いが出てきました。

すなわちフミン酸の機能が塩分の分解と、電気伝導率を低くし塩分濃度がEC値、塩分濃度双方で短時間で改善に向かっている事実を表しています。

7月8日に当社担当者の観察報告によれば、フミン区の発育は順調で、稲の背丈と葉っぱと茎の育ちと色が青々として健康的であった。

またフミンなし区の状態も、さほどの発育不全は見られなかった、その原因は水田の水に溶け込んだフミン酸、フルボ酸が水の流れで無投与区にまで流れ込み、後にいきおいを盛り返したとの見方です。

すなわちこの試験場は連続した水供給が関連しあっているため、全て9反の田んぼにフルボ酸フミン酸が水を媒介にして行き渡ったことになります。

ところがこの試験場と隣り合った田んぼは、水の道が違うためフミン酸の恩恵を受けず、発育と稲の色が赤茶け黄色く枯れ葉となっている田んぼが周囲に散見されることから、典型的な塩害症状と担当者は報告しています。

これはフミン酸の投与が塩害を克服し、見事な発育となっていることを証明したことになり、「この秋の収穫が待ちどうしい。」と協力いただいた試験農家の期待の言葉です。

この状態で収穫量が昨年より上がれば、塩害を克服しただけでなく、田んぼに眠っていた肥料成分を活性化させ、塩害の被害がなくなった後にも、無農薬無肥料生産でしばらく耕作できそうです。

と申しますのも津波の冠水は未知な栄養分をも運んできているからです。

津波の被害を逆手にとって、塩を分解し栄養価に買えることができたら、これほど有意義なことはありません。

カナダのHNC生産の責任者WU博士は「EC値とかCEC値とかあまり気にしなくても、フミン物質は、農作物発育を健全にしますよ。」と自信を持って答えていました。

期待しましょう。