オリンピックとタバコ

〜4年後の東京オリンピックを禁煙でクリーンに〜

(受動喫煙防止法成立を機会に健康日本を)
東京都の知事選が始まる前、有力候補数名が記者クラブ主催の記者会見に出席し、質疑応答がテレビで生中継されてました。

幾つかのテーマの中に、4年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック開催と準備についての意見発表もありました。

その中である候補が、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催中、東京都は条例を作り、禁煙にしたいと思うと発言していました。

正確には公共施設や飲食店など、不特定の多数な人間が集合する場所での喫煙を禁止し、タバコを吸わない人への副流煙の被害を無くす、紫煙のないクリーンなオリンピックにする「受動喫煙防止法(条例)」の完全施行を政策として公約したい意味のようでした。

この「受動喫煙」とは、タバコを吸わない人が、近くにいる喫煙者の吐き出す煙で、知らずの内に体内を汚染し、健康被害となる、非喫煙者にとっては大変迷惑な現象のことです。

さらに東京オリンピック期間中と断定した理由があります。

今年開催されるブラジル・リオデジャネイロオリンピックはじめ、最近の夏季冬季のオリンピック開催地がすべて禁煙条例を実行したからです。

中国・北京、カナダ・バンクーバー、英国・ロンドン、ロシア・ソチそれぞれの国と都市で、開催中は公共施設と飲食店などは全面禁煙にし、中には罰則規定まで設けた法律にした国もあることが参考になり、同じ様に東京でも実行しようとの発案です。

この背景は、2010年にIOC(国際オリンピック連盟)とWHO(世界保健機構)の申し合わせで、健康増進目的のスポーツの祭典に、不健康を増徴させるタバコ喫煙はその趣旨に反するとして、禁煙協定が結ばれたことも、禁煙実地の大きな発端になりました。
ただし今日(2016年)、2020年東京大会はその他の開催国が行った、厳しい禁煙対策がとられるか否か、関係者の間で議論がまとまらず、結論が先送りになっているようです。

病院、学校、公共施設、交通機関施設内部は、現在でも禁煙、分煙が行われ問題ないが、オリンピック会場、競技場を含め、歩道、屋外広場などへの規制はどうなるのでしょうか。

もっと大変なのはホテル、飲食店、大型商業施設などですが、喫煙者は隔離した部屋にしたり、喫煙場を設けたりの、分煙施設を作ることで対応するようになるでしょう。

然し理想としては、多数の人が利用するこれらの施設は禁煙が望ましく、また違反者への罰則も必要との、禁煙推進団体や医師会などの強い意見もありましたが、利害が絡む各種団体からの反対にあって決めかねました。

その理由は、現政府と与党の国会議員、東京都議などに、タバコ関連業者、飲食店業界などから、厳しすぎるとの反対意見が噴出、政治資金献金の関係などもあって、世界レベルの禁煙オリンピックにはならないようだと、ある消息筋は断定しています。

ただ世界各国から、大勢の観戦者や観光客が来日する大会なので、健康的で清潔な心地よい環境は大事です。

禁煙にしろ分煙にしろ、タバコの害をなくし、快適に過ごす施設の整備と環境を作る主催者の努力に、反対意見はないでしょう。

ところがクリーンオリンピックに、業界の利害だけで協力しないとしたら、関連業界の姿勢は当然問われます。

ちなみに先進国の中で日本は、最も喫煙者にとって甘い国で、その例としてタバコの価格は発展途上国は別とすれば、もっとも廉価です。

イギリスやアメリカ・ニューヨークなどは、日本円換算で1000円になる価格です。

この高い価格が財布に影響し禁煙をして、健康増進から医療費節約になったと聞きます。

あの喫煙大国の中国でさえ、オリンピック中は厳しい禁煙対策を行った過去があり、中国人のマナーを学ぶ発端になったようですが、現在その体験が持続してるかどうか定かではないです。

ただ世界的にタバコを吸う喫煙者のマナーは向上しています。

「タバコを吸っていいですか」と周囲の人の了解を求めるのは常識となり、また喫煙場所が指定されている施設では、その中で喫煙することが当たり前になっています。

コーヒーショップやファミリーレストランの多くは、喫煙テーブルは別室とし、一般テーブルと隔離し、煙が非喫煙者に届かないようにもしています。

ただ大衆食堂や居酒屋、バーやカラオケスナックなどはその限りではありません。

然し居酒屋、カラオケ店の客の中には、ドアの外へ出て喫煙をし、再度飲み直す、また歌い出す、など気配りの客も多くなったとも聞きます。

戸外喫煙と言えば、会社、工場などの職場で喫煙ができず、扉の外でかくれて吸う行動が当たり前になり、職場によっては喫煙場所が別途設けられ、その場所でしか喫煙できない分煙制度が出来ているようです。

ところが、喫煙時間のサボタージュが誰の目にも確認されるので、それを嫌い禁煙した職員も出ているようです。

家庭でも子供への受動喫煙と、部屋の臭気を嫌い、喫煙者は庭かベランダで、肩身の狭い思いで喫煙するとも聞きます。

こんな社会現象は、非喫煙者に対する思いやりの公徳心と礼節で、言葉を大げさにすれば、他人の人格を尊重する人類愛、究極は平和世界に通ずる筋道と思います。

ただしこれが、少数の身近な環境では行われるが、見ず知らずの群衆が集まる施設や広場の喧騒の中で、この公徳心が、個人の気持ちの中で持続できるか否かが心配です。

個人は群衆の中では埋没され、礼節やマナーが無視されかねません。

喫煙してはいけないところでの禁煙は、個人のマナーとしては理解しても、群衆の誰かが喫煙しているとマナーを守る心は瓦解し、たちまち喫煙者の一人になります。

それはタバコの魔力で、我慢できない抜き差しならぬ喫煙の習慣性が、公徳心を無視する破壊する欲望を抑えきれないからでしょう。

喫煙者に「タバコは体に良いですか?」の質問に、「悪いと思いますが止められません」の答えが返ります。

それだけタバコには、理性を超える魔力があるのです。

こんな喫煙者の習慣性と欲望を止められないとしたら、東京オリンピック禁煙条例(受動喫煙防止法)は難しいでしょう。

作ったとしても実行されないかもわかりません。

期待できることは、喫煙者個人個人がクリーンな東京オリンピックを成功させようとする意識です。

喫煙者はこの期間禁煙するか、道路上や公共広場、運動競技場、屋外、屋内の公共施設、食堂、交通機関などの禁煙指定場所での喫煙を、正しく守ってもらうことです。

それだけでなく、世界各国からくる選手や応援団、観戦者、観光客に、禁煙運動に協力してもらうPR活動が必要ですし、迎える都民一人一人の接客態度の中で、クリーン東京を理解してもらう行動も必要でしょう。

何れにしろIOCやWHOの考えに協力し、禁煙を実行して健康的な東京オリンピック・パラリンピックを成功させることが大切です。

しかし東京オリンピックの成功は、禁煙だけではありません。

競技施設、宿泊施設の完備。

地震防災対策の充実。

交通インフラ、通信放送網の整備。

レストラン、食品マーケットの衛生対策。

内外から運ばれる食品の安全性など、課題は山ほどあります。

さらに、東京オリンピックでは種目によって、近県の施設や住民の協力が必要となる場合があります。

これ等の施設、住民にも、クリーンで安全なオリンピック成功に協力してもらわなければいけません。

ところでこの禁煙法はじめ、施設の充実と地震防災対策、食品の安全性向上などが実地されたら、このオリンピックが契機となり、もっと住みよい東京いや日本国になることも期待できます。

東京オリンピックまであと4年、その時私は88歳です。

クリーンなオリンピックを、この目で見、耳で聞き、このマガジンで検証いたします。